伝わらない音声信号

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信号機

少し前のお話ですが、昨年のクリスマス、皆さんはどのように過ごしましたでしょうか。友人や家族とパーティ、あるいは恋人とイルミネーションを見ながらディナーなんて方もいたかもしれませんね。 私はというと、自宅でラジオを聴きながら仕事をしていました。 毎年12月24日の正午から、翌25日の正午まで、ニッポン放送系列で放送される「ラジオチャリティミュージックソン」という番組を聞いていたのです。

第38回 ラジオチャリティミュージックソン(ニッポン放送)

この「ラジオチャリティミュージックソン」は、「目の不自由な方に音の出る信号機を」をテーマに、24時間生放送をしながら募金を募るという番組です。ラジオを大事な情報源の1つにしている視覚障害者の間ではとてもポピュラーな番組で、私も子供のころから聞いていました。今回久しぶりに番組を聞いて、あらためて音声信号について考えたことを書いてみようと思います。

皆さんは、音声つき信号機を見たことがありますか? そうです。「通りゃんせ」のメロディやカッコーの鳴き声、あるいは「青になりました。」などの人の声で、信号が青なのか赤なのかを伝えているものです。

通りゃんせ

カッコー

●音響付信号はきちんと情報を伝えられていない?!

音響付信号機は、私も普段からお世話になっていますが、いくつか不便なことがあります。まず1つ目の不便は、「青があとどのくらい続くのかわからない」ということです。
カッコータイプの信号機では、信号が青に変わった瞬間から、点滅を始める寸前までずっと同じテンポで「カッコー」と鳴っています。
信号が青になる瞬間に横断歩道にいれば、その音を聞いてわたり始めることができますが、 青になってしばらくたってから横断歩道にたどり着いた場合、「今青なのはわかるけど、まだしばらく青が続くのか、それとももうすぐ点滅を始めるのか。今からわたり始めて、横断歩道を渡り切れるか」を判断できないのです。
また、「青になりました」と音声で信号が青になったことを伝える信号機もありますが、これはもっと情報が伝わりません。青になってしばらくたってから、その横断歩道へたどり着いても、今青なのかどうかさえわからないのです。結局次の青まで待つことになります。

2つ目の不便は「押しボタン式音響信号機」です。

こちらは、視覚障害を持つ人が信号機に設置されたボタンを押したときだけ音が出る信号機です。音響信号の音が常に鳴っていると近隣から苦情が来るという理由で、必要な時だけ音が出るようになっているものです。しかし、どの信号機が押しボタン式なのかは、信号機に近づいてみないことにはわかりません。家の近所や通勤途中など毎日行き来する場所であれば、どれが押しボタン式なのか覚えておくこともできますが、外出先でたまたまさしかかった信号機が押しボタン式なのかどうかは、視覚障害者にはわからないことも多いのです。
(押しボタンの近くからピッ、ピッ、と音が出ているものもあります)

●音響信号がないときはどうしているのか?

最初にご紹介したラジオ番組や、自治体・警察署の取り組みの結果、音響付信号機は増えていますが、そうでない横断歩道もまだまだたくさんあります。音響信号機がついていない横断歩道にさしかかったとき、私たちは周りの音を手がかりに、目の前の信号が青なのか赤なのかを把握します。
自分がわたろうとしている横断歩道を、周りの人はわたっているのか? 自分が進もうとしている方向と平行に車は走っているのか? それとも自分の前を横切っていくのか? といったことを、周りの音から判断して、目の前の信号が青なのか、赤なのか、わたっていいのかそれともしばらく待つのかを決めます。でもそれはあくまで状況から判断したことであって、100%確実ではありません。私も誤って赤信号でわたってしまうこともあります。そんなとき、周りの方から「赤ですよ。」とか「青になりましたよ」と声をかけていただくこともあり、安心して渡れるのでとても助かっています。

ところが、ここでも困ったことに遭遇します。残念ながら信号無視をする人が一定数いるのです。信号を無視してわたり始める人がいると、「あ、あの人が渡っているってことは青なのかな」と判断して私たちもわたってしまう可能性があるのです。

このように、普段何気なく接している音響付信号機ですが、まだまだ改善の余地が残っています。私たち視覚障害者が、「街を歩く」というあたり前のことを当たり前に行う上で、音の出る信号機は欠かせないものです。音の出る信号機が1つでも増えることを願っています。

伊敷 政英(いしき まさひで)
フリーのウェブアクセシビリティコンサルタント。

生まれつき弱視の視覚障害を持つ。
現在の視力は左右ともに0.01程度で、外出の際は白杖(はくじょう)をもって歩いている。

パソコンは画面拡大ソフトを用いて、画面を4倍程度に拡大して、さらに白黒反転して使用。
iPadも活用して、障害を持つ人の選択肢を増やすことを目的に日々活動している。

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